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シャネルを着た悪魔
第11章 ☆CHANEL NO11☆
「──愛、かあ。ねえ、もし私がロスチャイルドとかロックフェラーみたい大財閥に嫁ぐ!って言ったらどうする?」


「ロスチャイルドぉ?なにそれ」


「韓国の……アート財閥よりももっと大きい帝国財閥みたいな感じ」


「帝国な、それはさすがに知ってるわ」

「で、どう思う?」


まだお母さんは私に顔を向けなかった。必死に犯人が誰なのか考えているんだろう。

「どうも何もさ、アンタが好きなら嫁げば良いんちゃう?って感じやろ」


「え、それだけ?」


「だってママは、お金が欲しいから娘に玉の輿乗ってほしいとか、そういうの無いもん。アンタが好きなら一緒になれば良い、お金の為でそこに愛が無いなら──」

「しんどくなるの目に見えてるんやから辞めとき。ただそれだけやわ。」


「アンタの事を愛してくれる人と一緒になるのが一番良いのよ。」


シンプルだけど、的を得てる回答だった。確かにお金だけが目的ならしんどくなるのは分かってる。

でも、あの契約開始から半年以上経った今は──、愛が二人の間に存在するんだ。

「そう……よね。」

静かに呟いた私。

やっぱり母親だ。彼女の言葉は、どんなにシンプルでも、どんなに汚い様な言葉を使われても──それでも説得力は有る。

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