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シャネルを着た悪魔
第12章 ☆CHANEL NO12☆
「リサ!」
黒いマスクに、黒いタンクトップ。
下はダメージが入ったジーンズという夏らしい格好をしている彼氏が勢いよく、ドアを閉めて抱き着いてきた。
「暑い」
「うるせえ、俺はずっと寒かったんだ。」
「夏なのに?」
「お前が中々大阪から帰ってこないから。てっきり……実家の方が良い事に気付いて、もう韓国に来る気がないのかと思った」
「あんたさ、普段は強がりで強情でワガママなのに、そういう変な所だけ神経質なネガティブになるの辞めたら?」
「ああ?好きな女の事心配するのは当たり前だろ」
ブチュッと、子供がする様なキスをして、満足そうにバッグを持ちリビングに向かう彼の後を苦笑いで追いかける。
「──ってか、なあ。何でこんなに家汚いんだ?」
「……はあ?あたしの荷物はこれだけやけど?テヒョンでしょ、食べたら食べっぱなし・脱いだら脱ぎっぱなしで……。」
「本当私の台詞だわ。どうやったら一か月でアレだけ綺麗だった家をここまで汚く出来るわけ?」
「だから言ったろ、俺は掃除も料理も出来ないって」
料理は出来る。だけど──キッチンにたまるカップラーメンの残骸を見る限り、わざとしなかったんだと思う。
まあ、曲作りの合間である夜中から材料切って焼くとか炒めるとか、面倒臭いのは分かるんだけどさ。
「それにしても、よ。これ丸一日かかるわよ」
「それはおめえが効率悪いからだろ、こんなの捨ててコインランドリー持ってってとかすれば直ぐに綺麗になるよ」
「しないのに言わないでくれる?」
夫婦の様な会話だと思う。
憎まれ口を叩き合いながら、二人共無意識にソファーの上に座った。
いつも……此処で二人でテレビを見ながら話したり、時にはテレビを付けずに音楽だけ流してみたり。
彼がパソコンを触ってる時、私は学校の宿題をしたり。互いが自由に行動しながらも、側に居るという安心感を確かに覚えてた、そんな素敵な場所。