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シャネルを着た悪魔
第12章 ☆CHANEL NO12☆

「おい、あんまりだぞ。当たる相手を間違えてる。」


「でもヒョン。これは真実なんだよ。」

「側に居たいとか好きとか、そんなんじゃ片付かない事態まできちまってるだろ。」



「──その為に、帝国があるんじゃないのか?」


「ダメだ。こんなに注目された今、帝国を動かしすぎると勘付かれる」


「帝国を動かし過ぎる……。」

「ああ。最近、俺が一族と絡み過ぎてたことお前が一番分かってんじゃねえのか。」



「だから──何が言いたいのよ?」


「お前こそ何が言いたい?」




「……まるでっ、まるで私のせいみたいな言い方だけど!」

「リサさん、落ち着いて。」



「これはサセンの仕業なんでしょ?!じゃあアンタのせいも同然じゃない!」


イさんの止める声は聞こえた。

でも私は最も言ってはイケナイ言葉を口にしてしまったんだ。だけどテヒョンは怒らなかった。

力無い笑顔を見せると、こう言う。


「だろ?そうなんだよ」

「分かってるんだろ、皆。認めたくなかっただけなんだよ。」

「しかも第一に、本来なら信じ抜く立場のお前がそう思ってるなら、俺達ムリして一緒に居るはずねえよな。」


「──っ」

「はあ。」

場違いなため息をついたのは、まるでこうなることが予想出来ていたかの様な紳士だった。

「今後はお前の人生だ、まあ勝手にしろや。色々、無茶させて悪かったな。」

綺麗でも無いし、嬉しくもない言葉を発しながら私に向かって財布を投げつけてくる。

「……っ」

お揃いの真っ黒の皮財布。


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