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シャネルを着た悪魔
第13章 ☆CHANEL NO13☆
ワイプには笑顔の司会者が映る。
『あのねー、北村さん。これは常識でしょ!マリリンモンローですよ』
────え?
フォークに刺さってある梨が落ちた。隣の母は何食わぬ顔でまだテレビを見ている。
動揺……いや、呆然としているのは私のみだ。
『故ケネディ大統領の45歳の祝賀会はスクエア・ガーデンで行われましたからね。あの時にゲストのマリリンが歌ったのが今でも有名な”ハッピーバースデー・ミスタープレジデント』
「…………。」
繋がった、気がした。
何度か出てきたブロンド美女は──マリリン・モンローだ。
肉感的な唇とあの歌声はドコかで見た事があったけど、まるで神隠しかの様に私の脳から一部の記憶が消えていた。
寝室にポスターを飾るほど大好きだったあの女性。
ベッドで彼女と一緒に寝ていたのも、射殺されてたのも──ケネディ大統領。
「そうだ」
「……何、イキナリ」
彼女の死因は確か薬の多量摂取。
他殺か自殺かは断定されていない、きっと今後何百年経ってもこの問題が解決される事は無いだろう。
だけど、ドコかで見た事が有る。
『マリリンモンローは他殺の可能性が非常に高く、ケネディ一族によるものではないか』という陰謀論に似たネットの記事を。
「お母さん、予知夢って有ると思う?」
「はあ?」
誰よりも冷酷だったといわれるケネディ。
『マリリンモンローはその三か月後に亡くなってしまいましたよね。最後に公の場で姿を見せたのがこのスクエア・ガーデンですから』
『沢山の人の色々な思いが詰まるこの土地で、明後日、帝国グループの会長であるイム・テミンさんはどの様な発表をするのか、それが気になる所です』