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シャネルを着た悪魔
第13章 ☆CHANEL NO13☆

「なあ、予知夢って何の事?」

「──っ」


『明後日は、イム会長と会長夫人二人揃っての会見ですからね』

『この所、不祥事続きの韓国財閥の中でも不動の一位である”帝国のトップ二人”が何をここで発表するのか──、それが疑問ですよ』


被ったのはケネディ暗殺時の状況。

私も映像でしか見た事が無いけれど、あの人が殺されたのも──妻と二人で居る時だった。


両家族とも──知る人ぞ知る『仮面夫婦』だ。

共通点が多すぎる気がしたと同時に、私に見せられていた『夢』の本当の意味にも気付いた気がした。


「お母さん、私どうすれば良いんやろ」

「だから何をよ?」


「──大事な人の、大事な人物が危ないかもしれない」

「ほお。」


「でも証拠もない。有るとしたら──みんなが笑ってしまう様な”予知夢”だけ。」

「私、今はその大事な人と連絡取ってないの。でも大事な事には変わりはない」


現に就職活動とやらを少しだけしてみたけど……

結局テヒョンの顔が浮かんで受かっても蹴ってしまう。その時の心の中での言い訳は『私は韓国に”帰る”かもしれないのに』だ。

強がっても、諦めた様な態度をしても──やっぱりソコはただの人間。


あれだけの時間、あれだけの愛情と優しさに包まれていたらイヤでも好きになってしまう。現に私は……今も彼の事が大好きだ。


「つまり、大事な人の大事な人を助けてあげるべきかって話?」

「そう。誰も気付いてないの、今後起こるかもしれない事態に──。」


まだ分からない。

あくまでも、スクエアガーデンの舞台で行われたのは祝賀会で、ケネディが殺されたのはテキサスのダラス。また全然違う場所だけど……。

でもあれほどまでに彼女が撃たれた絵や、コーヒーカップに何かを入れられてた絵を何度も夢で見るのは不思議極まりない。

完璧に夢と現実が被っているワケではないけれど…例え断片的であっても部分的であってもここまで材料が揃った絵。


真っ青の空に、対照的な真っ白の飛行機雲を描くか描かないかは、その人物が決める。

──つまり、ここで言う『犯人』が決める事。



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