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シャネルを着た悪魔
第13章 ☆CHANEL NO13☆
──1年半ほど前に来たニューヨークは昔とそんなに変わっていなかった。空港に着くなり、帝国グループの本社の電話番号を調べて掛ける。
空港前の喫煙所には人種問わず沢山の人間がタバコを吸っていた。勿論、公用語は英語だ。ここに居る彼達も私の話す英語は理解できるだろう。
でも──相手がバレるとか、訛りがどうとか。そんなの気にしてる余裕なんて無かった。
あと約10時間で会見が始まってしまう。
「ヨボセヨ?」
若い女性の声と被す様にして、私も話し出す。
「こんにちは。アミューズ株式会社の柳沢リサと申します。秘書室代表のイさんにお繋げ出来ますか?」
「……?…イはただいま出張中でして──」
「では、イさんに至急、今から言う電話番号に電話をお願いする様伝えて下さい。緊急事態であると云う事と私の名前を伝えて下されば」
「あの、ご用件は?」
「──ソン・テヒョンの事です」
電話越しできっと首をかしげているに違いない。
ソンテヒョンの名と秘書室のドンの名がつながるはずなんて無いのだから。もう一度、連絡する様に念を押して伝えた私は一方的に電話を切って帝国が持っているRXホテルグループのニューヨーク店へ電話を掛けた。
きっと忙しくスマホを触っている私は国際派のバリバリキャリアウーマンに見えるだろう。
──まあ確かに、優雅な旅行ではない。
「はい、こちらRXコンチネンタルホテルニューヨークです」
「あの──空室情報をお伺いしたいのですが」
「本日でしょうか?」
「はい」