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シャネルを着た悪魔
第13章 ☆CHANEL NO13☆


「会長と……?」

少しだけ不審そうな瞳を投げかけるイさん。どうして、と思っているんだろう。


だけど隣の白髪の男性は違った。

そう、テミンさんは少しだけ笑顔になると私にこう言ったのだ。


「──柳沢リサさん、君の事はよく知ってるよ」

「僕も……いつかは直接会って息子を変えてくれた事にお礼を言う必要があると思ってた」



「イ、スカイラウンジに行ってくる。下で待たせてるモハメドを一度帰らせろ」

「良いんですか?あの方はサウジの石油地を売ると言ってるんですよ」


「構わない、もし帰らせた位で売らないというのなら──その時は、天然ガスに目を向ければ良いさ。」

「……分かりました」

モハメドとはいかにもアラブらしい。

もしかして、私が目合った男性だったりして。



「リサさん、49階のバーに行こう。お酒は飲めるかい?」

「はい、ワインが好きです」


「……ははっ、そうか。じゃあワインを飲みながら話しをしよう」

こっちに着いたのは夜だった。

今から飲むのは時間的にも最高だと思う。



この人も──明日は絶対に朝から打ち合わせとか何なりと有って忙しい筈なのに、こうやって時間を作ろうとしてくれる。

やっぱり──テヒョンがネガティブなだけで、この人は『彼の親』なんだ。


だからこそ、心配しているし……私と話す事で自分の知らない息子の一面を知ろうとしている。


ちょっと嬉しくなった。

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