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シャネルを着た悪魔
第13章 ☆CHANEL NO13☆
バーには白人の夫婦が一組居たけど、会長の顔を見るなり席を立った。
そりゃガーデン・スクエアで後数時間経ったら会見をする大財閥のドンが来たんだ、普通の人間なら同じ空間に居る事さえも恐縮してしまう。
テレビで言ってた様にフランスや南米でも注目されているんだろう。
「リサさんは、ワインどれを飲みたい?」
「私は──」
「オーパスワンが飲みたいです」
「渋いね、じゃあオーパスワンの一番古いのをくれ。グラスは二つで良い」
「──かしこまりました。」
バーテンダーは黒髪をポマードで固めたハンサムな方。ご結婚されているのだろう、左手の薬指にはシルバーのシンプルな指輪が輝いている。
このバーはスイートに宿泊している人間しか入れない。
──口は堅いと思う。
「まず、どうしても言いたい事が有るんです」
「何だろう。」
「笑わないって約束しますか?」
「ええ?──まあ、話しを聞いてみないと分からないが……笑わない様に努めるよ」
私が財布を無くした時と同じ様な会話。
この人と一緒に住んだ事は無いらしいテヒョンも同じ言葉の使い方をしていた。DNAなのだろうか?それとも成長した人間が使う言葉、なだけだろうか?
「会長は知ってると思います。私がどういう経緯で韓国に行き彼と一緒に過ごしていたか」
「……」
「そして、その時からずーっと、ある夢を見てたんです。ブロンドの美女がメインの夢を」
「それは興味深いな。」
「でしょ?説明すると長くなりますから──纏めますが、多分私の見立てでは美女と……黒髪の男性は付き合っていました」
「でも、その男性は射殺されるんです」
「女性は──誰か分からない人物に毒薬を飲まされて多分亡くなりました」
「射殺された舞台も──、美女が男性の誕生日を祝うために素敵な歌を歌った舞台も──、ずっと思い出せなかった」
「顔が見えなかったんです。だけど……昨日、日本でガーデン・スクエアが映し出されたニュースを見て全てが繋がりました」