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シャネルを着た悪魔
第13章 ☆CHANEL NO13☆
「愛子には辛い思いをさせてしまったと思ってる。いくら韓国の血が入っていても、日本で育ってきた女の子を私は自分の欲望だけで韓国に住まわせた訳だ」
「そして、子育てが一番大事な時期に──側に居れなかった。自分の事や帝国の事ばかりを考えて、僕は愛子の事を愛していたが、それが伝わる様な行動をすることが出来なかった。」
「だから──テヒョンが僕を恨むのは当たり前だと思ってる」
「でも、やっぱり息子なんだ。心配なんだ。」
「イから、どこに住んでるのかも極貧な生活をして練習生になった事も全部聞いてた。でもね、僕も若かったがゆえに自分から腹を割るのは出来なかったんだ」
「だけど──今は違う。」
「親のエゴと言われる事は分かってる。」
「それでも──それでも良いから、僕はテヒョンに跡を継がせたかった。それが彼にとって一番の『息子孝行』になると信じていたんだ」
「僕とテヒョンは、やっぱり親子だ。二人して、日本人の女性に惚れて──二人してその相手を傷つけてしまっている」
「だから──今の君を見てるのは凄く心苦しい」
「僕が今も心の底から愛していて、一生忘れる事なんて出来ない──愛子を見てる様で」
「それって……」
「僕だけじゃない、イも。僕たちは君達二人を応援している」
「僕の様な人生を歩んでほしくないと思っている」
「だから──テヒョンが選んだ相手に、何を言うつもりもない」
「だけども『伝えてほしい』事は有る」
「………。」
「僕にとったら出来の悪い兄貴も、芸能人になったテヒョンも『息子』だ」
「どっちの方が可愛いとか、そんなのは無い」
「そして──自分の力で道を開いていったアイツの事を誇らしく思ってるよ」