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シャネルを着た悪魔
第2章 ☆CHANEL NO2☆

喫煙所に入ると、少し早い時間帯のせいか──それとも、このレストランしかない階の喫煙所だからか、他には誰も居なかった。

ガラにもなく、たばこを吸う間だけだと自分を言い聞かせてGoogleでリョウの名前を検索してみる。


一番上に出たのは一ヶ月前の記事だった。


「ふぅ~」

たばこの煙をバカな子みたいに口から出して前髪を上げてみる。

暗くなったディスプレイに自分のアホ面が映って思わず我に返った。

「視聴率男!ねぇ…」

新クールの視聴率が良いことも当たり前のように思われているから、プレッシャーがひどい。という内容だ。


多分リョウだけじゃなくどの芸能人も一度は抱えるプレッシャーだと思う。


「ま、頑張れとしか言い様が無いよね。」

と呟いた時、喫煙室とドアが開かれた。



「何一人で喋ってんだよ」

「あ……」

シャネル野郎。

憎まれ口ばっかり叩くイメージしかないけど、こいつもこいつでプレッシャーは感じてるはずだ。


だからこそ、あの時……こんな大きい男の背中が異様に小さく思えたのだろう。


「これ」

渡されたのは領収書。会計金額は13万8600円。


ランチなのに高いんだな、というのが印象に残る。


「ありがとう。でも何でこれ持ってるの?」

「俺が払ったから」



「───へ?」


思わず日本語が出た私を見て、ニヤリと笑うと彼も便乗して日本語でこう言ってきた。

「タバコイッポンチョーダイ」



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