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シャネルを着た悪魔
第2章 ☆CHANEL NO2☆
「いや、別に煙草くらい何本でもあげるわよ。それより──はあ?てか、何であなたが払ったの?」
もう一度、しっかりと今度は英語で聞き直す。
彼は私のタバコを取って、そして私のジッポで火を付けた。
「宛名がウチの会社ってことは、自腹になるんだよ?芸能人でも経費って使ったことあるでしょ。」
「俺の自腹の13万なんて安いものだし」
「そうじゃなくて、私の口座に振り込まれるから私が13万円どうすれば良いのか分からないでしょ。」
「そのスターサファイアに合うネックレスでも買ったら?」
「……はあ!?アンタ、本当何言い出すわけ?」
「ありがとうって言葉は無い訳?」
「韓国の女なら、みんな喜んで『オッパ、カムサムニダ』なんて言う場面だけど。」
「何、日本の女は礼言わないって言いたいの?」
「正直、コチラから頼んだワケでも無いし何で言わないとダメなのか分からないから言わない。返せと言われたら現金でも返せるし。」
静かに紫煙を吐き出してから、猫の様な瞳が私を捉えた。
反韓マックスの私だ。『オッパ』のくだりで正直、イラッときたしこの位の目つきで怯むことは無い。
もっと言ったら、今は──日本代表女子くらいの気持ちだ。
「お前ってマジで……」
「マジで何よ。」
「俺はただ、お前のあの発想が助かったからお返しとしてこの場を出しただけ。」
「何の発想?」
「──ったく覚えてねえの?……曲だよ。お前が作ったあのサビ部分、メンバーも賛同してくれたし、あのまま使うことにした」
「あー、あそこ?でしょ、やっぱりそうだと思った」
「だから、今日はわざわざ皆時間がない中お前と飯を食うためにここに来たんだよ。あのフレーズを思い付くお前と飯を食ってみたいって事で」
「ふーん」
リョウが居たら言われそう、そのふーんは照れてる時のトーンだと。
私も忙しい女だ。怒ったと思えば喜んで、次は照れるのだから。