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シャネルを着た悪魔
第14章 ☆CHANEL NO14☆
「イさんも大変ですね」
「え?」
今の今まで私とティーの女子会トークを何とも言えない顔で見つめていた彼に話を振った。
「会長夫人、中々気が強いでしょ」
「……ああ、まあね。でもしょうがない、彼女は上野芝財閥の長女として生まれ育ってきているし──今更『帝国』を認めたくないんだろう」
「テヒョンが見たら、きっとこう言うと思いませんか?」
「『あんな見せつけれる様にエルメスの最新作を持ってるけど、あいつには”豚に真珠状態”だ』って」
「──言うかもしれないな。テヒョンはブランドの価値を分からずにつけたり、見せつける為のアクセサリーは嫌いだからな」
「アクセサリーは女の武器だけど、それが全てと思う様になったら堕ちるのみだ。って一番最初に二人でリサさんの話をしたとき言ってたよ。」
「私の事って意味ですか?」
「違う。彼はそう思ってるからその価値観を植え付けたいって意味だろう」
「ああ、もう充分ですよ」
私もそういう似た様な類の言葉は死ぬほど聞いた。
確かに彼は無駄な買い物を一切しない。
例えば、このショパール。これはシンプルだけど華が有るからワンピースであってもスキニーのカジュアルスタイルであっても、凄く良い味を出してくれる。
だからこそ──私に似合う服を買ってくれる事は有っても、『必要』でないハリーウィンストンやロレックスという時計を買ってくれる事は無かったのだろう。
きっと彼には彼なりの美徳があるのだ。