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シャネルを着た悪魔
第14章 ☆CHANEL NO14☆
懐かしい出来事を思い出した。
韓国で彼と共に生活し出して四か月程度が経った時だろうか?テレビではキャサリン妃のファッション特集がされていた。
パネルには『韓国の女が好きなハイブランド・イギリスの妃が好きなローブランド』という対照的な文字。
それを二人で見ていた時、確かに彼は言った。
大好きなレモンティーを飲みながら……。
『俺、思うんだよ。俺のオンマはとても綺麗で強くて女性として華が有る人だった。でもブランドはそんなに興味が無かったんだ』
『キャサリン妃もそうだと思わねえか?』
『彼女も知的で綺麗で、きっと内に秘めた強さを持ってる。でも着てる服はザラも有れば、5000円くらいで買える様なジーンズも有る』
『だけど”本物"を持ってない訳じゃない。この前の訪米の時に着てたのはカルティエの新作ドレスだっただろ』
『あの人は分かってるんだ』
『これ見よがしにハイブランドを付けたりする事が女性のステータスでは無くて、時と場合を見極めた上で自分に似合う服を着る事が最高のステータスになる、って』
『俺のオンマも──』
『上から下まで合わせて15000円程度の服を着て、普通に出歩いてた。そんな恰好で一緒に帝国の裏パーティーにも行った事が有る』
『だけど、それでも……』
『自分の価値を証明したいが為にハイブランドで固めてる様な財閥令嬢や婦人、振興財閥の彼女なんかより凄く綺麗で品が有った』
『その時に幼いながら思ったんだ』
『女性はブランドの値段に囚われる事なく、名前に囚われる事なく──自分に似合う服を着る事が大事なんだ、って』
『だから俺はお前に似合う服が有れば、それが例え1000円でも買うと思うし、その服を着てドコかに行くのもオッケーだと思う』
『でも逆にお前に似合うなら──たかがドレスに1憶掛けたとしても買ってやりたいと思う』
『そういう事なんだよな。──本物のファッションとか、ファッションセンス……いや、女性の品格って』