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シャネルを着た悪魔
第14章 ☆CHANEL NO14☆
「これより、帝国グループ会長イム・テミンと、その妻であるイム・シンビによる共同会見を始めます」
「まず、お忙しい中遠方からわざわざご足労を頂きまして有難う御座います。」
「ニューヨークという土地に立つのは半年ぶりですが、相変わらず良い土地ですね。」
「何よりこの老体にはセクシーな女性が沢山居る此の町は最高に思えます。まるで町行く女性全てがマリリン・モンローですよ。」
いわゆる開会の挨拶、という初っ端でいきなりジョークを飛ばす会長。
夫人は作り笑いだったけど──
会場には本気でクスクスと笑っている様な声が溢れた。
「この度、会見を開いたのは理由が有ります。二つ有るんですが、まずは一つ目から」
「──皆様もご存じだと思いますが、先日の発表通り我が息子が味剣カンパニーの代表を辞職する運びとなりました。」
「あれほどまでに多大なご迷惑をお掛けしたお取引先の皆さまには結果がこの様になってしまい……本当に申し訳なく思っております」
「そして、それに伴い正式に、帝国グループが持つ会社すべての従業員名簿から彼の名前を消した事を報告いたします」
「ええ?」
「全てだと?」
驚く声が聞こえる。
そりゃ──そうだ。
次期会長だとあれほど言われてた人物が味剣の辞職だけでなく帝国から出てったも同然の行動をしたんだから……。
跡取りは誰だ?という話になるだろう。
夫人も一応、ポーカーフェイスを貫いているつもりなんだろうけど納得いっていないと云うのが犇々と私にも伝わってきた。
跡取り次第で帝国の株価は急激に変動する事が予想される。そうなったら、取引先にも多かれ少なかれダメージは有るに違いない。
「本来なら、来年の65の誕生日で第一線から完全に退くつもりでした。皆さまもきっとその話は聞いていたと思います」