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シャネルを着た悪魔
第15章 ☆CHANEL NO15☆
「なあリサ」
「何?」
「おめえの体を二度も傷つけた犯人が分かったんだ」
病室の窓を開けながら、そう言った彼の声はとても低い。
だけど威圧感を感じる様なソレでは無かった。一言で言うならば『落ち着いている』だろう。
「誰だったの?」
「──アート財閥、覚えてるか?」
「うん。勿論」
一度、深呼吸する音が私にも聞こえる。続きを催促する様に、ベッドの横の椅子を軽く二度叩くと、彼は私の隣に座った。
「混乱させたら悪いから、説明するよ」
「アートは元々『北』なんだ。知ってるか?」
「まあ、少しだけ聞いた事はある。でもそれってトップシークレットみたいなモンなんでしょ?」
「そう。だけど相手が帝国になると話は別だ。お前の事をあそこまで出来た様に他の財閥の真実を確認する事なんてお安い御用、だったんだよ」
「だから、この事については──そうだな、アートが財閥4位だから帝国と残り三つの財閥のトップは知ってる事になる」
「へえ」
「でな、」
「──分かったんだ、全精力を上げて調べた結果」
「あの時に使われた毒は、北朝鮮の金正男が殺害された毒と同じものだった」
「……え、正男が殺害されたヤツと同じって──」
「考えてる通り。俺も思ってた、あの毒の事を調べて分かったのはアレは殺傷能力が高いけども入手が非常に困難とされてる」
「でもその場所が北朝鮮となると話は別だ、だろ?」
「……。」
「そこで、全部の辻褄が合った。」
「お前が撃たれてから、帝国は──本当に有りとあらゆる力を使った」
「どうやらウンサンと俺の兄貴はとても仲が良かったみたいなんだ。両方共出来の悪い財閥の跡取りっていう共通点があるだろう」
「そして俺の兄貴は──非常に『出』を気にする。俺のオンマの事を嫌ってたのは彼女が普通の家出身だったからだ。そして俺の事を嫌うのは俺が汚らわしい『婚外子』だから」
「そういう事も有って、兄貴はウンサンの事を可愛がってた。まるで本当の弟の様に──」