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シャネルを着た悪魔
第15章 ☆CHANEL NO15☆
「ちょ、ちょっと待ってよ」
「分かったんだろ?この続きが」
「テヒョン、貴方は『自分のお兄さん』もこの一連に関係してた。と言いたいの?」
「言いたいんじゃない、そうなんだ」
思わず落としそうになるペットボトルを反射神経の良いテヒョンが受け取めると、蓋をもう一度キツく締めなおしてから、テーブルの上に置いた。
「どうして──どうして貴方のお兄さんが私を?」
「お前を撃ったのはアイツらが雇った女。国籍はタイ」
「違う、そんな事聞いてない!」
「分かってる、まあ待てよ──」
「……。」
「ウンサンはお前に対して腹が立ってた。それはお前も分かるだろう?」
「うん。」
「だから俺とお前がオリオンモールに行った事を聞きつけて、まるで視察かの様な顔付きであの店に入って毒を入れたんだ」
「ウェイターが三時間前に証言したらしい。『コレを女性に持って行ってくれ』とウンサンに指示されたってな」
「で、兄貴は兄貴で同じ頃、ウンサンからクラブでの出来事とかを聞いて余計に俺にムカついた」
「『味剣を大きくしたのはムカついてる弟だ』とか『左遷させられた』とか周りには変な目で見られて──」
「どうしようも無い時に俺が惚れた相手が日本人だって事を知ったんだよ」
「そしてウンサンも兄貴は『自主退職』したんじゃなくて、そういう風に持っていかれたんじゃねえのか、と疑り始めた。」
「訳の分からねえ絆だよな」
「ウンサンの嫌うリサは、兄貴が最も嫌う弟の愛した女だったんだ」
「じゃあ──あの女性は私を撃とうとしたの?」
「いや、それはどうも違うらしい。」
「あれを計画したのは兄貴であの女を買ったのはウンサン。どうやら兄貴は親父を殺す様に言ってたんだと」
「それって……」
「親父に対する反感だろうな。」
「何で俺をテヒョンが大きくしたも同然の味剣に行かせたのか?とか、帝国を辞める様に持って行ったんだ?とか、色々あったんだと思う」
彼から、此処アメリカで聞く真実は余りにも衝撃的過ぎる。
「そうなんだ、あいつら最低だね」と簡単に言えるほどの物語では無い気がした。
まさか──だ。
色々な要らない絆が繋がった時、互いが傷の舐め合いをした。
そして──私は『死にかけた』。