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シャネルを着た悪魔
第15章 ☆CHANEL NO15☆


「会長の言葉聞いた?彼は私達を応援してくれてる、勿論イさんも」

「本来なら反対する立場の人間が応援する位、他人から見て分かる位──私達は愛し合ってる」



「そりゃね過去を言いだしたらキリないのよ。出会い方も最悪、側に置かせた方法も最悪」


「アンタが謝るべきことは言い出したらキリがない」



「──勿論、私が毒塗られたナイフで刺された事も最悪、撃たれた事も全部最悪よ。それで私は今まで手術なしで20年以上生きてきたのに、その結果が覆った訳なんだから。」



「でもね、それらは『結果的にオーライ』だから今はどうって事ないの」

「命が有るから──何より、こうやって側で涙を流してくれる彼が居るから──私はまた、大事な人からの愛情を感じれた。」


「それ以上に私が悲しくて寂しいのは──」



「こんなに愛しているのに、それを貴方に伝える手段が無かった事」


「そして、貴方がネガティブになってもう一度私を離すんじゃないかって事、それだけなの」




「だけど──っ、俺は……勝手なエゴで、お前を守ってるつもりで、実際はこうやって危ない目に合わせてたんだよ!分かるか?」

「分かるわよ。」


「でも言ってるじゃん。私はそれを『悲劇』だとは思ってないって」



「私にとっての悲劇は貴方と一緒に居れない事」

「貴方の『実はか弱い心』をこうやって、キツイ言葉で背中押す様な真似を今後一切出来ない事」


「ねえ、何で分かってくれないの?」


「何で──女にここまで言わせるの?」





「私は貴方を愛してる」

「私をここまでした犯人が例え、貴方と血の繋がりを持つ『兄貴』だったとしても──」


「私は貴方とこれからも一緒に居たい」





──子供の様に涙を流すテヒョン。


彼からの『YES』の贈り物である額へのキスは、とても優しかった。



少しだけ唇が震えてたのが見えたのは内緒にしておく、彼のプライドの為にも、ね。



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