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シャネルを着た悪魔
第15章 ☆CHANEL NO15☆
「これ、二人に会長からだ。開けてみろ」
足がギブスで固定されてない私の為に、わざわざ手元まで持ってきてくれた彼は、私と目が合うと首を傾げる。
「親父から?」
「私、先に開けようっと」
ゆっくりと開いたその中には──
キラキラと光る宝石が二つ付いた指輪があった。シャネルのロゴを両端引っ付けた、数字の八を横にした様な形。
「左の石はガーネット。石言葉は『秘めた情熱』と『真実の愛』だ。」
「右の石は、珍しいだろう?ラピスラズリと言う。石言葉は『永遠の近い』と『成功の保証』。」
スターサファイアとは又違う輝きを放っている。どっちの方が良いか、なんて決められない。
でも、私の薬指に光るこの二つの宝石は……私たちを見守ってくれる様な優しい光を醸し出している。
「それがお父さんの気持ちなんだよ。」
イさんが、最後に言ったその言葉はテヒョンの涙腺を再度、崩壊させた。いとも簡単に……。
そんな彼を私は、引っ張り抱き締める。
何も言えない。
きっと私の想像以上に、テヒョンの胸の中はいっぱいいっぱいだろう。
だからこそ──抱き締めるくらいが丁度良いんだ。
「この世に二つしかないオーダーメイドモノだ。ブランドではないけど……」
「確かな価値は有る。大事にする様に」