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シャネルを着た悪魔
第15章 ☆CHANEL NO15☆
あの時以来だ。
足を踏み入れたASAOにはウェイターは居ない。
代わりにオーナーさんと、オーナーの奥さんが挨拶をしに来て下さった。
「懐かしいな。」
入り口から、みんなが手を振ってくれているテーブルに歩くまでの間、そんな事を彼が言う。
「そうね。私、ここで貴方に喧嘩売ったんだわ。」
「俺は何も言ってなかったのに、出来の悪い後輩のせいで喧嘩を売られた……名前も顔も知らない日本人の女に」
「嬉しそうな顔してるのに、そんな憎まれた口叩いちゃってさ。」
「ああ?」
「だってそうでしょ?」
「リサヌナ~!!」
ルイくんに手を差し出され、私も左手を出す。キツく握手を交わした。
「なあ、話の続きは?」
「もう席に着いたから一言だけね」
『あれが有ったから私と貴方は愛し合えてる』
二人にしか聞こえない声でそう言った私に……彼は小さく笑った。