この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
シャネルを着た悪魔
第15章 ☆CHANEL NO15☆
「こいつらの言う通り。俺は、サファイアとして居続けれる様に帝国を継ぐことにした」
「兵役は二年と少し。でも俺は──兵役に行かなくて良い代わりに、いつ復帰出来るのか分からないのが本当の所だ。」
「俺は……帝国をしっかりと元の『天下の帝国財閥』に戻してから、芸能界に復帰する。」
「それが何年かかるのかは分からない。コイツ達と同じ二年かもしれないし、五年かもしれないし、十年かかるかもしれない。」
「でも、それが俺にとって帝国とサファイアっていう──二つの宝物を守るための最善だったんだよ。」
「もちろん、お前を守るための最適な手段だったとも言える」
「なあ、リサ。」
「……はい。」
顔をあげると、そこには優しい顔をしたマネージャー、そしてメンバー。
「俺がお前を無理に韓国に連れて来た」
「そして無理に側に置いた。」
「その時は地獄に落ちた様な気分だったと思う。でも今は──どうだ?」
「とても幸せ。」
「だろう?──じゃあ、安心しろ。俺はお前にとって間違った行動は一切しない。」
「──お前は黙って俺のする事信じてくれれば良い。……側で小姑みたいな小言いいながらも笑ってくれるだけで、それだけで良いんだ。」
「要らないリスクをも抱えてしまうのが経営者なら、そのリスクを消すだけの癒しを与えるのが、女だろ。」
私が心底惚れたソン・テヒョンという人間はジェンガの様だな、ってバカみたいな事を思う。
何度も何度も、倒れ込んでしまいそうな──いつ倒れても可笑しく無い様な事に見舞われながらも、最後はキッチリと建て直すのだ。
対私でも、対アート財閥でも、対芸能界でもそうだろう。
そして、人々に感動や興奮を与える。
──確かに私は彼の言う通り、なにも深読みせずに信じるべきなのかもしれない。
マリリンも言っていた。
『愛とは信じること』だと──。
もし、彼女の言う通りなら私が謝るよりも口を出すよりも、黙って信じて付いていく方が彼の強みに成るだろう。
対世論、対韓国。ここまで話しは大きくなってしまう、彼が帝国を立て直そうとするならば。
でも、それを成し遂げる可能性が有るのは彼の兄貴でもイさんでもない。
彼自身だ。