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シャネルを着た悪魔
第2章 ☆CHANEL NO2☆
レストランに戻ると、既に席をたとうとしている上司と彼のメンバー達が目に入った。
思わず小走りになって『遅くなりスミマセン』と告げる。
予想外に反応が良かった。
時間に厳しい上司なのになぜだろう?と考えたのもつかの間、左手にはサイン色紙があったのを勿論、私が見逃すはずがない。
キッチリと上司の名前入り。
ファンだったんだなあと理解するのは10秒も必要なかった。
「あいつ知らない?」
「あー、喫煙室に向かってましたよ。」
何食わぬ顔でそういったのにライター野郎は察したんだろう、私に向けてニヤリと微笑んできた。
指輪を見せつける様にして手を振り返しても彼は微笑んだまま。
また何か違う意図が込められているのだろうか?
「呼んでくるわ」
という一人に会釈をしたと同時にマネージャー達が時計を見て韓国語で彼達に何か言っている。
私と上司は、さすがにKYでもないからお先に失礼します。と頭を深く下げてレストランを出た。
出る間際、シャネル野郎以外の子達がわざわざ、もう一度『ごちそうさまでした』と頭を下げに来たのは深く感動を覚えた。
いえいえ、と謙遜する上司を見て、心の中で『ウチは一切、持ってません』と悪ガキの様な表情をしていたのは私だけの秘密、だ。