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シャネルを着た悪魔
第2章 ☆CHANEL NO2☆


「いや~。今日は出勤してきて良かったでしょ?柳沢さんも。まさかあの人たちが直々に来てくれるなんてね…」


「そうですね……。凄い事ですよね~」

いつもの調子良い返事をした。

でも──あの人って誰だよ!知らねーよ!なんて事、さすがの天真爛漫な私でも上司には聞けない。

仕事が終わり次第ユーチューブでも開いてみようかな、とか思ってみたけど冷静に考えてグループ名さえ知らないのだ。


Yahoo知恵袋で韓国の五人組アーティストについて過去の質問から探した方が無難なのかもしれない。

上司に聞くのもイヤな感じだし。

これがブラジルやコロンビアあたりの俳優、モデルなら私が担当してる雑誌や人物に近いから直ぐに分かるんだろうけど。


「じゃあ、私仕事に戻りますね。」

デスクに座って、パソコンの電源を入れる。

出張の際の飲食費等は全て経費でおとしてくれるのに、パソコンはもう15年以上前の型のもの。


「あ、それと。今日は早めに帰って良いからね。明日は午後から又、メイクアップアーティストの近藤さんと打ち合わせしなきゃダメなんでしょ?」

「はい、そうです」


「来年4月分の、雑誌の打ち合わせだっけ?」

「そうですよ。ウチからいくつかトレンドモノのアウター提供するんで。それに合ったメイクに関して話をしようと思ってるんです」


近藤さん──メイクの腕は、そこそこ。

でも、顔が可愛くてスタイルが抜群なのだ。だから、よくジャニーズ事務所や若手俳優から指名されてメイクを担当している。

テレビにも出演しているし、ブログもそこそこ人気だし──裏方というよりは、半表世界の人間だろう。



ラインを開いて、両親にメッセージを送った。

『30日に帰ります』とだけ一言。


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