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シャネルを着た悪魔
第16章 ☆CHANEL NO16☆

すれ違うメイドさんや、警備員さんたちは、まだテヒョンがこの家の主の会長の息子で有る事を知らない。
皆、大きな目をもっと大きくしていた。
門を開けてくれた彼も、きっと『ただの来客者』として聞いていたのだろう。この場で本当の事を知るのはテヒョン本人と私のみだ。
番号式の鍵をいとも簡単に開けると、又も度胆を抜かれる広い玄関……。
シンビさんの『趣味』らしく家の中も可愛らしい感じだった。
あの人はヨーロピアンテイストが好きなんだろう。
「テヒョン、珍しいな。時間ピッタリか」
「ヒョン、俺も芸能人になって何年目だと思ってる?遅刻がご法度だよ」
「あれほど、遅刻してたやつが偉そうに……。リサさん、久しぶり」
「お久しぶりです、イさん。」
しっかりとセットされた髪にテヒョンからの贈り物であるネクタイを付けている紳士。
彼と会うと安心するのは──何故だろう。
「会長が待ってる」
「どこで?」
「リビングだ。──もう何年も来てないだろう、分かるか?」
「分かる。……あのさ、ヒョン」
「ん?」
「俺、死ぬほど足を踏み入れたくない場所が此処だった」
「でもやっぱり『自宅』なんだな。今は帰ってこれて嬉しいよ」
「──そうか。それ、会長に言ったら喜ぶぞ」
「泣いてるヒョンよりも喜ぶなら、言うのも有りだな」
テヒョンの言葉を聞いて、号泣とまではいかないが少しだけ涙を流した彼は、嬉しそうに肩を叩いていた。
『良いから、早く行け』という意味と──照れ隠しかな。
こんな、のびやかな姿を目の前で見れるなんて私も幸せ者だ。
皆、大きな目をもっと大きくしていた。
門を開けてくれた彼も、きっと『ただの来客者』として聞いていたのだろう。この場で本当の事を知るのはテヒョン本人と私のみだ。
番号式の鍵をいとも簡単に開けると、又も度胆を抜かれる広い玄関……。
シンビさんの『趣味』らしく家の中も可愛らしい感じだった。
あの人はヨーロピアンテイストが好きなんだろう。
「テヒョン、珍しいな。時間ピッタリか」
「ヒョン、俺も芸能人になって何年目だと思ってる?遅刻がご法度だよ」
「あれほど、遅刻してたやつが偉そうに……。リサさん、久しぶり」
「お久しぶりです、イさん。」
しっかりとセットされた髪にテヒョンからの贈り物であるネクタイを付けている紳士。
彼と会うと安心するのは──何故だろう。
「会長が待ってる」
「どこで?」
「リビングだ。──もう何年も来てないだろう、分かるか?」
「分かる。……あのさ、ヒョン」
「ん?」
「俺、死ぬほど足を踏み入れたくない場所が此処だった」
「でもやっぱり『自宅』なんだな。今は帰ってこれて嬉しいよ」
「──そうか。それ、会長に言ったら喜ぶぞ」
「泣いてるヒョンよりも喜ぶなら、言うのも有りだな」
テヒョンの言葉を聞いて、号泣とまではいかないが少しだけ涙を流した彼は、嬉しそうに肩を叩いていた。
『良いから、早く行け』という意味と──照れ隠しかな。
こんな、のびやかな姿を目の前で見れるなんて私も幸せ者だ。

