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シャネルを着た悪魔
第16章 ☆CHANEL NO16☆
「この帝国グループの跡取りだ。そして、このタイミングだ。生半可な覚悟じゃ到底出来る事じゃない。それを──分かった上での決断か?」
「ウンサンとは縁を切った。勿論戸籍には僕が父親として表記されているがシンビとの話し合いにより、今後のアイツの人生はシンビが見ていく事となる」
「……そうか。それで向こうは納得したのか?」
「ああ。彼女も航空会社とセメント会社を貰って、有頂天も同然なんだろう。」
「……。親父は?」
「僕か?」
「息子だろ。あんな事になったとは云え」
「息子だ。確かに血は分けた」
「でも自分の父親を殺しかけた様に育てた覚えは無い。」
「僕は、そこまでされてもアイツのケツを拭いてやるほど優しい男じゃない」
「──そんな状況だけど、極論を言うとイも居るし僕もまだ一線に居る。そこにお前が入って来るんだ、どういう意味か分かるな?」
「分かってる。」
何度も確認をする会長は、きっと自分の心にも確認しているんだろう。
でも、彼の再三の質問に私の彼氏が怖気付く事はない。
何てったって『ソン・テヒョン』なんだから。
──ふう、と息を吸い込んでからテヒョンは茶色のトートバッグから分厚い資料を取りだした。
ペラペラと捲って見せる最後のページには78の文字。つまり……この資料は78枚ある。
「何だ、それは」
「計画書」
「……テヒョン、それ全部が計画書ってか?」
思わず入ってきたイさん。
「そうだけど」
普通の顔して答えるテヒョンに心底、三人とも驚いた。