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シャネルを着た悪魔
第2章 ☆CHANEL NO2☆
「タバコ、吸ってきます」
と一言告げてから、喫煙室に入り──……理由もなく何故かリョウの携帯電話の番号を表示して発信ボタンを押そうとしている私。
惚れてない、元サヤなんて有り得ないー…
自分自身に言い聞かせる様にした。
それでも体は意地悪なのか正直なのかバカなのか──…いや、素直なのだろう。
私の人差し指は、発信ボタンをタップしていた。
「もしもし?」
2コール目で出る彼。
かなりの遊び人だったのは確かだけど仕事以外の時は、こうやってすぐに電話にでてくれてた事を思い出す。
「やっぱり、仕事?」
「勿論。今からちょっと休憩して、夕方からバラエティーの撮影。どうかした?」
「いや、ううん。聞いてみただけやけど。」
「なんだよそれ。寂しいのかー?」
『お前誰に電話してるんだよ~』
という若い男の子の声が後ろから聞こえる。
「ううん、愚痴…っ!愚痴を言いたかった!」
なんか手が勝手に……なんてことは口が避けても言えない。
こいつもバカじゃないんだから、きっとそれがどういう事なのか───すぐに分かってしまうだろう。
「何?どうしたんだ?また韓国人か?」
「え──何でわかったん?!」
「いや、適当に言っただけだけど。そうなんだ……でも何で?お前帰国してるじゃん」
「……いや、それがさぁ~」
上司は私とは真逆に誰も居ないのを良い事にして、余韻に浸ろうとユーチューブで彼たちの動画を見ているに違いない。
残りの仕事なんて一時間も有れば全部終わらせる事が出来るな──と軽く頭の中で時間配分を考えてから、タバコに火をつけて、私は話し出した。
先程の出来事を…。