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シャネルを着た悪魔
第17章 ☆CHANEL NO17☆

「俺は──俺は、まだ半端な男なんだよ」

「確かに帝国を継ぐという決意は見せた。でも決意表明なんて誰でも出来る。」


「大事なのは芸能界でも同じ。継続して──そして結果を残す事だ。」


「ここまで振り回してしまったファンの子達を、さらに結婚で追い打ちかける様な真似、帝国の跡取りとして何も結果を残していない半端な俺には出来ない。」


「……なにそ「最後まで聞けや。」



「でも──」

「もし俺が、しっかりと帝国を立て直してサファイアとしての活動も出来る様になれば──その時はファンも俺の事を『一人前』だと認めてくれるだろう」


「……。」



「その時に──」

「その時に、俺と結婚しよう」



「だから待っててくれ。」


「……そんなんいつになるか分からないってこの前話したばかりやん」


「十年経っても帝国がこのままなら、私はどうなるの?その間に一生懸命に働いてくれたグループの社員の子に貴方が惚れたら……私はどうなるの?」

「そんな事有るワケねえだろ」



「何が有るのか分からないのが人生だって事、貴方が一番身に染みて分かってんでしょ。」


「まるで、五年先も──十年先も、当たり前かの様に私を愛している。みたいな事言わないでよ」



「私の気持ちも──何も考えないで、そんな勝手な事ばっかり言わないでよ!この鈍感野郎!」


白色のソファーだ、って事なんか忘れてた。

まだ一口も飲んでいない黒バラを彼の背中に投げつけて、財布だけを持ち部屋を後にする。


必死に──私の名前を呼ぶ声が聞こえたけど、振り向いて抱きしめる。なんて可愛い事は出来なかった。



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