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シャネルを着た悪魔
第17章 ☆CHANEL NO17☆
でも、行く宛のない私。
こんな時に限って事情を知るティーは留守中で、メンバーに会いたくても……携帯を持ってきていないから連絡が取れなかった。
この前とはさすがに訳が違う。
ここまで大騒ぎになっているんだ、カフェで顔を出しながら泣く訳にも、お昼だからクラブでお酒を飲む訳にもいかない。
私が──迎える先はたった一つ。
二日前も来た、この大豪邸だった。
インターホンが鳴って直ぐに、使いの者らしき声が聞こえる。きっとカメラが何台も有って、私がインターホンを鳴らすか鳴らさまいか躊躇していたのを不思議に見てたんだろう。
「はい?」
「あっ…あのイム・テミンさんは居らっしゃいますか?」
「失礼ですが何方でしょうか?」
「──柳沢リサだと伝えて下されば、分かると思います」
韓国語で会話していた女性が日本人名を言った事に驚いたのか?
テヒョンの”例の恋人”じゃないか、と疑ったのか?
何が彼女を一瞬だけ沈黙にさせたかは分からなかったけど、確かに発せられた『かしこまりました』の声を聴いて、会長が在宅な事実に胸をおろした。