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シャネルを着た悪魔
第17章 ☆CHANEL NO17☆
二分ほど立っていると『お入りください』の声と共に、その門は開かれる。
このハウス前には可笑しな事に記者は居ない。
これが『財閥の強さ』なのか、それともこの家はセカンドハウスか何かでまさか、ここに会長が居るとは思われていないのか──。
二日前も見た噴水の横を通り過ぎて、あの玄関へ向かう。
扉は開いていた。
「会長っ……」
スリッパを履いてイキナリ訪問してきた私に驚いた表情を見せる彼。
だけど何か異変を感じ取ったのだろう。
『早くおいで』と言う様に手招きをしてくれた。
二人で来たリビングに、今度は一人で立ち入る事になる。
でも不思議と『怖さ』とか『威圧感』とかそういった類のモノは感じない。
きっとそれは彼の事を『帝国の会長』として見ているんじゃなく『愛した男のお父さん』として見ているからだろう。
「どうしたんだ、リサちゃん」
「──……っ」
「まあ、ここで話せとは言わないよ。場所は分かるだろう?先にリビングに行っててくれ」
「会社に少し電話して会議の時間をズラしてもらうよ」
「え、会議だったんですかっ」
「ああ。今から出ようとした所に君が来たんだ。でも心配しないで、そんな顔をしている『大事な娘』を放置して会社になんか行けないよ」
頭を撫でながら、そんな洒落た事を言った紳士はメイドにお茶を二つリビングに運ぶ様指示していた。