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シャネルを着た悪魔
第17章 ☆CHANEL NO17☆
あれだけ速く感じてた筈のエレベーターが……何故か凄く遅く感じた。
広い廊下に懐かしい臭いを覚える。
──毎朝、お隣さんに挨拶をして、たまに簡単な韓国語を教えて貰って……あの豪邸がどれだけ大きくても便利が良くても見栄を貼れても……。
私は、テヒョンと共に過ごしたこのマンションが大好きだ。
「───ただいま」
ドアを開けると同時に、彼は私が帰宅したと分かったのだろう。
何かを乱暴に投げつける音がしてから数秒後、リビングのドアが開いた。
「おめえ!」
手を出されない事は分かってる。
でも──出されても可笑しくない位の怒り。
「テヒョン──っ」
整い過ぎた男の真顔ほど怖いものは無い。
でも──言わなきゃならない。
私の方から歩み寄り……彼を抱きしめた。
ほのかに首の後ろから、私も愛した、そしてマリリンモンローも愛したあの香りがする。