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シャネルを着た悪魔
第18章 ☆CHANEL NO18☆

ふとつけたテレビには、二週間前に発売されたサファイアの新曲PVが丁度流れていた所だ。そして──それを見計らったかの様に玄関の扉が開く音がする。

歩ける様になったばかりで歩きたいのか──


それとも『パパ』だと分かったのか──


二人共が暴れだしたため、重い腰と共に子供もおろした。


「ただいま」

「おかえり」


「パパ!」

「アイ、テテ……ちゃんとママの言う事聞いてたか?」

メイドさんに渡したバッグはエルメスの新作。外しているネクタイは、バーバリー。

相変わらずセンス抜群だ。


もう、六年も経てば帝国の『会長代理』としての格がさすがに付き出してる。

「リサ。今日も何も無かったか?」

「うん。って──それもう二年半毎日聞かされてるわよ。一体何が有るってのよ」


子供たちを抱く前に私の頬にキスをして、こんな事を聞いてくるのだ。

どれだけ喧嘩をしていても──仕事でイヤな事があっても、それでも彼は聞いてくる。

いわゆる日課ってヤツになってるのかもしれない。


「そりゃ、お前が右翼グループに襲われる事だってあるかもしれねえだろ」

「無いわよ。帝国もそんな次元のグループじゃないでしょ」


「俺達のグループは次元が違うけど、韓国の過激派の民度は変わってねえからな」

渡してあげたレッドブルを一気飲みしてから、私の唇にまるで小鳥の様な可愛らしいキスをするテヒョン。

そしてそれを冷ややかな目で見つめるアボジ。


「普通は子供に先にキスをするだろ」

「うるせえ、アボジには言われたくねえよ。」


「──はあ。」

苦笑いを浮かべてため息をついたのは私だった……。


でも──嬉しい事は間違いない。

結婚生活二年半……共に韓国で過ごして六年以上。


それでもこうやって愛してくれてるんだから──。


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