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シャネルを着た悪魔
第18章 ☆CHANEL NO18☆
「名前は?」
「……日本名はタノシヤ・アイコ」
テヒョンの顔を見た。きっと今の私の表情ってすごい事になっているんだろう。
『どうした?』と問いかけそうになってる彼。
「漢字ってコレじゃない?」
「ああ、そうだよ」
ボールペンをゆっくり机の上に置いて──アイをソファーの上におろす。
ハイハイでアボジの元へ行く彼女は顔立ちはまるでテヒョンそっくりだ。
逆に一人で積み木に熱中しているテテは私の顔に似ている。
「──ねえ、まさかだけど。本当にまさかだけど……お母さんの幼馴染かも」
「……オンマがか!?」
楽屋アイコって……聞いた事が有る。
あんまり聞かない苗字だから覚えていた。
昔、私がまだ我が子くらいの年だった時──確かに私からタノシヤおばちゃんと言われてた彼女は、家に遊びに来て一緒にレゴをしてくれたんだ。
とても綺麗な人で──だけどドコが陰がある人だった。
「……まさか、だよね」
突如出た日本語の独り言だけど、私がテテとアイには日本語で話しかける様にしてる事が幸いしたんだろう。
これ位なら理解できる男二人は不安ともとれる顔で目を見合わせている。
スマホを取りだし──電話を掛けた先は私のお母さん。
韓国で帝国の嫁になる、と言った時も……全てを打ち明けた時も……
否定の言葉なんて一言も言わず『失敗したら帰ってきたらいいやん』『アンタらしく生きなさい』と言ってくれた──私の大事なオンマ。