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シャネルを着た悪魔
第18章 ☆CHANEL NO18☆
『いつになったらバレるかな、と思ってたけどな。──今、そこに誰居てんの?』
『テヒョンとアボジ。あとはテテとアイも一応居るけど…』
『じゃあ妹に話させるから、スピーカーにして。あの子、アメリカ留学特待生選ばれるくらいやから割りと英語喋れるし』
『う、うん。』
関西弁は難しいのかな、首を傾げている会長……愛子さんが愛した男に簡単に事情を説明した。
すると、分かりやすいくらいに背筋を伸ばして薄っぺらい電子機器を黙って見つめ始める。
──未だに大好き、なんだろう。
何も言えずに、アボジの飲みかけのコーヒーを私も口に含んだ時、聞きなれたお母さんソックリの低い声が耳に流れる。
「テヒョンオッパ、アボジ、久しぶり。リサの妹の静香だけど。」
「──本題に入るわね。」
「お母さん、愛子さんが亡くなる四日前にお姉を自分のママに預けて、韓国に行ったんだって」
「もう既に顎にまで癌が移っていた彼女は話す事すら、ままらなかったらしい。」
まだ、パスポートも持っていない妹の話す英語は聞き取りやすかった。
これならアメリカに留学しても充分に通用するし、いや……もしかしたらしなくても良いレベルかもしれない。
「愛子さんと筆談した時──彼女は最後、こう書いたんだって。」
「『色々あったけど、私はテミンの側に居れて、テヒョンを産むことができて、本当に良かった。』と──」