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シャネルを着た悪魔
第2章 ☆CHANEL NO2☆
慌て出すスタッフの事なんか目に入らない様にそそくさと、オーパスワンを取って、グラスを人数分セットして……と仕事を熟しているリョウは顔も格好良いしセットと照明の力もあってか本当のバーテンダーみたいだった。
「リョウさん、指輪がとても綺麗ですね」
『え!どれどれ?って……うわ、本当じゃん!お前スターサファイアの指輪なんかしやがって!しかも、これ24金だろ?』
『まぁ、そんな所っすねー』
スターサファイア?ゴールド?あぁ…と理解してから、次はえぇ?!と慌てる私。
やっぱり今日の私は忙しいみたいだ。
「………。」
『リョウはね、お金持ちだからさ。皆、リョウに何か買ってもらったらどう?』
「じゃあ僕はエルメスのケリーバッグかな」
と厭らしく言ったのは勿論、同じ言葉を言われたリーダーだ。
こいつ私に気付いてる?それとも──リョウと私の関係に気付いてる?
いや……偶然の可能性もあるし……と難しい事を考えていたら、グラスのぶつかる軽い音がして、ふと顔をあげる。
目の前のオーパスワンのワインはとても渋い赤色をしていて、夜何も食べていない、飲んでいない私は羨ましい限りだった。
そこら辺のバーで頼んでも年代によっては安くて五万円以上だ。
さすがにフツーのサラリーマンの私が飲みたい時に飲むというスタンスで貫ける様なモノじゃない。
『ケリーバッグねえ。確かに高いけどさあ。──それ位、テヒョンさん。買ってよ、自分で』
「はは、ソウキマスカ…」
そうきますかって、どうきてるんだよ!とブリブリ茹で蛸の様に顔を赤くして、目の前の光景を見つめ続けた。