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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆
「あ……」
「何だ、その顔。ちゃんと飲んでんの?」
「うん、そこそこ」
「あっそ。──てか、これリョウさん?寝てるんだ」
笑いながらリョウの頬を軽く抓るテヒョンの頬もまた赤く、目が少しだけトローンとしている。
その瞬間にひと昔前に大流行りした藤波さんの一発ギャグが聞こえてきて、少しだけ笑ってしまう私。──私も頬が赤いかもしれない。
「どうした?」
「いや──懐かしいギャグが聞こえてきたから」
「そっか」
彼は一言、呟くと持っていたグラスをテーブルの上に置き、私の肩にその手を回してきた。
かすかに香るシャネルの5番の香り。あの大ハリウッド女優が付けていたものと全く同じだ。ちなみに私とも同じ。
──だけど、コイツには嫉妬してしまうほど、この香りがマッチしている。
「お前は笑った顔が一番可愛い。」
「怒った顔に惚れたんでしょ?」
「とんだ自信だな。──本当、その自信はどこからくるんだ?」
「過去の経験よ。」
「ははっ。──俺は惚れてない」
「ウソばっかり。じゃあリョウにあんな意地悪な質問しないでよ。スターサファイアの指輪のこと……気付いてたんでしょ?」