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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆
少しの間があき、彼は肩にまわしていた手を退けると、次は私の顎を持つ。
クイッと上げられる私の顔。
それと同時に目に入る綺麗な彼の顔。
「何?」
「スタンバイした時から──お前の存在にも、お前が大事そうにつけてる指輪の存在にも気付いてたよ。」
「まさか、その後にリョウの指から、同じのを見ると思ってなかったから取り乱しただけ」
「へえ。そうなんだ」
こいつは強がりだな、絶対に。
“取り乱した”って──つまり取り乱すほど気が動転した。それは何故か?私とリョウの関係を認めたくなかったからだ。
「俺、酔ってると思う?」
「さあ、少しは酔ってるんじゃない?結構ハードスケジュールそうだし、今日も何だかんだ量、飲んでそうだし」
「──じゃあ、その勢いでお前に聞くけどさ」
「何?」
今は──『今だけは』──。
お互い憎まれ口をたたいていない。凄く穏やかな時間が私達を包み込んでいる様に感じる。