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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆
「ルイ、ジミン。俺ちょっと出てくる」
「出てくるってどこに?」
「こいつの鞄と靴、買いに行かないとダメなんだよ」
「はあ!?」
今度こそ大きな声で、そう叫んだ。
会話は勿論英語。ここにいる女の子達には少なくともいま何を話しているのか分からない状況だろう。分かられたら困るから、それはそれで良い。
「だから、要らないわよ!あれは話の流れでそうなっただけで……」
「でも、俺の男としての見栄がある。」
「リョウの指輪を見たのに俺は何もせずに曖昧な気持ちだけ伝えてハイ、満足。お前を奪いたいです、って何かそれってすげーダサくねえ?」
「──いや、お金とかプレゼントの価値の問題じゃなくてさ…」
「うるさい。俺にも財力あるってお前に分からせるんだよ」
財力でリョウに惚れたんじゃないっての。
「あのねえ!」
「リサちゃん、落ち着いて」
「財力があるからってリョウに惚れて付き合ってた訳じゃないのよ。」
「私はお金の有る女になりたいんじゃない。ただ、素晴らしい男と付き合って、自分も素晴らしい女になりたいだけなの」
「分かる?──そこら辺の『オッパ・カムサムニダ』女と一緒にしないでくれない?」
「──私の場合は、ただ……惚れた男がたまたま財力があっただけ、惚れた男がたまたま芸能人だっただけ。」
「────。」
キツく握られた手。彼の手は温かくて、そして大きかった。
ジミン君が優しい笑顔で私を見つめてくる。
「でもさ!リサさん、ヒョンのためにも買い物付き合ってあげてよ。テヒョンさんは確かに強引だけど不器用なだけだからさ。」
ヒョンってなんだよ!とは雰囲気的に聞けない。
でも……可愛いルイくんは、さすが末っ子。何処までもテヒョンの事を立ててあげていた。
「………。」
「分かった。言い方を変える。俺がお前になにかをプレゼントしたいから、買う。それだけの話。」
リョウが収録の時に言っていた言葉と同じだった。
そして、それを彼も思い出したのだろう。小さく笑ってから私を確認するかの様な目つきで見つめる。
「はあ。──男ってそんなもんなのかしら」
「男はそんなもんだ。」