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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆

華々しい程艶やかに輝く店内。天井には大きなシャンデリア、ウィンドウ側には外から見える様に配置された数々の美しいバッグやハイヒールがある。


そう──此処はあのマリリンモンローの歌にも出てきた"天下のカルティエ"なのだ。

タクシーに乗り込んだ瞬間に、どこかに韓国語で電話をしていた彼。あの時は分からなかったけど──今は、その電話で何をしていたのかハッキリと分かる。

「もしかして……」

「お前のために開けて貰った。カルティエ・コリアの代表に直接、連絡入れてもらったんだよ。この店の支店長がまだ残ってたみたいだな」


奥から、ネクタイを整えながらコチラに歩いてくる一人の男性。

彼が──残業をする事になった支店長だろう。


『ドレ、欲しい?』

『ど…どれって』

全部欲しい!とは言えない。今のこの人なら、本当に全部お買い上げしてしまいそうだから。


「英語大丈夫ですか?」

「はい、勿論です。」

支店長は眠そうな顔を必死に隠そうとしている。


───カルティエ・コリアの代表からの連絡なら断れなくて当然だ。

あの居酒屋から一番近い、このカルティエ・銀座店の支店長だった事を喜んでいるのか、それとも家に帰れなくて悔やんでいるのか、そこまでは分からなかった。


だけど……彼のテヒョンを見る目は『サファイアのリーダー』を見る目と……ほかにも何か有りそうな目だった。


何て言うんだろう。

芸能人だから、この態度──というワケじゃなくて、もっと別の理由があるからこその態度……にも見えてしまうのだ。あくまでも私の勘だから合っているかどうかはわからないけど。

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