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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆
「マリリンモンロー好きなんだろ?」
「え?──大好きだけど」
「お前は映画の中のマリリンモンローになり過ぎてるんだよ」
「映画の中?」
「あの人の実際の生活は質素で──、金やブランドでモノを選ばない。──そう、『自分の金を使うお前』みたいなタイプだったって言われてる」
「でも『人の金を使うお前』はあの人が映画の中で演じてた、ネジが二本、三本と抜けた様な女なわけだよ」
黙るしかなかった。
「……お前に教えといてやる」
「本当の金持ちは、お前と同じ物の買い方をするよ」
「服に合うとか、そんなの考えずに周りの目だけを考えて高い方を買うのは二流なんだよ、分かるか?」
「────。」
「リョウさんが、それに気付かない理由は、あのひと自身が『フツーの家出身』だからだ」
カワスミ・リョウの実家は決して裕福ではなかった。
特別貧乏でもなかったけど──家族で出かけるのは、ファミレスとか。もう、本当に普通のお家だ。彼が言ってた事だから、事実だと思う。
「良いか、男を見る目も物を見る目も同じだ」
「お前が俺を『サファイアのリーダー』として見なかった様に──ただの韓国人として見た様に」
「これから『男の金』を使う時も、まずは”ただの時計”や”ただの布”として見ろ」