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シャネルを着た悪魔
第1章 ☆CHANEL NO1☆
次々と机の上に運ばれてくる料理。
夢と愛は、可愛らしい色のカクテル一杯でずっと頬を赤めて楽しそうに喋っていた。
そんな中で私は一人、七杯目のグラスワインを注文する。
もう頼むからボトル注文してくれよという様な目で見られたけど、ボトルで注文してもグラスで注文しても、自分で注ぐことは出来ないのだ、マナーとして。
それなら、別にボトルを注文する必要はない。
「ねぇ、さっきの人さあ……」
「待って!言いたい事分かる!……だよね!」
この先は私が理解出来ない様な単語が次々と出てきた。
やれ何処の事務所だ、やれ○○オッパだ、って──
オッパって何やねん!カッパの間違いか?と突っ込みたくなる気持ちを押さえて、無言でローストビーフを食べながら赤ワインを飲み続ける私。
彼女たちの目線の先に有るのは隣のテーブルだ。
結構、感覚を取ってテーブル席を作っているみたいだから距離はそこまで近くない。
ソコに座っているのは、私が店の前で見かけた四人組だった。
暗い店内だからイマイチ顔は分からないけど不細工ではないと思う。
その点も踏まえて彼たちは芸能人なのかもしれない。
それだったら、彼女たちが目をハートにしている意味がわかる。
「エクスキューズミー」
"郷に入れば郷に従え"
という言葉なんて思いっきり無視して英語で隣を歩くウェイターを止めた。
ワインのグラスを見ると、彼女はとっさに理解したのか頷きながら奥に向かう。
「ちょっと~リサ飲み過ぎ!」
「ごめんねえ」
どうせ話についていけないんだ。
飲むしかないやろ!と思いながら隣の会話に耳を傾けてみた。
音楽のせいで所々しか聞こえないけど、さっきまでは韓国語で会話していたのに今は英語になっている。私的には有りがたかった。
ウェイターにありがとう、と言って八杯目のワインに口を付けた。