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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆

「何、急に笑い出してるんだよ。」

「いやー…私の膝で寝てたリョウはベロベロやったのに今は素面やからさ。その違いが面白くて笑ってしまった」


"何だそれ"と彼も笑い、私の目にかかっている前髪を白い指で耳に掛けてくれた。


「でも、やっぱり世界のサファイアのリーダーだけあるなぁ。綺麗になったよ。」

「そうかな?」


「うん。昔は、素朴な可愛さと気の強さが良い具合にマッチしててー…今は素朴さは無くなったけど、凛としてる強さと綺麗さが良い具合にfeat.って訳だなぁ」

「何それ、歌手の新作シングルみたいに言わないでよ」


「ま、良いじゃん。ほら、お前ビール飲めないのに無理するなよ。悪酔いすんぞ」


と私のビールを取り上げて、店員さんにグラスワインを注文してくれるリョウ。

元カレって自分の事をよくわかってくれているからなのか安心感があるんだよね。例え彼が『成金趣味』で私の『二面性』に気付いてなかったとしても──。


「赤のカベルネで良いんだよな。オーストラリア?アメリカ?」

「どっちでも良いよ~。アメリカやったらナパ産が良いから無かったらオーストラリア。」

メニューを見ながら私の好みを聞くリョウに、私はまるで女王様の様にタバコの煙を吹き出しながら答えた。


少し離れたお誕生日席に座るテヒョンとバッチリ目があう。

軽く会釈だけしてから──あまりの気まずさに目を反らした私。


私の間違いではなければ……舌打ちの様な音が聞こえた気がした。

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