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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆
午前0時半。
ラブショットコールが叫び上がっている店内。
モデルちゃんが恥ずかしそうにサファイアのメンバーや、その他続々と増えてきた若手アイドル、若手俳優の子たちとラブショットを交わしている。
ちなみにラブショットというのは───
相手と自分の腕を絡ませて、自分の持っているグラスに入っているアルコールをそのままの姿勢で飲む事。距離が凄く近くなる。
眠い目をこすりながら、その空間に耐えられない私はカウンターに一人で座ってボーッとしていた。
いつになったら帰れるんだろう…。
ていうか、流されるがまま電車の終電時間も越えてしまった。
このまま本当にリョウの家に泊まるかもしれない。
でも──そんな彼は……。
ほら、目線の先で笑顔で最近人気上昇中の女性モデルと鼻の下を伸ばして"ラブショット"をしている。
昔からの性格だけどー…それでも、泊まれと言ってきた私に気を使えない彼に対してちょっとイラっとした。
ワインを飲み干して、もうそろそろボトル頼んでやろう!と店員さんを呼ぼうとした時に後ろからキツく抱き締められる。
『だーれだ』
『テヒョン』
可愛らしい日本語、そしてこの声、この香りー…
「正解。さすが俺の女」
「だからあんたの女じゃないっての……何回言わせんの」
「機嫌、悪くね?」
「リョウにイライラしてる」
「リョウ?何で?」
───リョウの名前が出た途端、腕に力を込められた。
故意だとしても胸がキュンとしてしまう。こいつは女の扱いってやつを本当に心得てる。そりゃ、あの『プリティー・ウーマン事件』の時も思った事だけど。
「電車、無くなったの。」
「ああ、そうだな」
「進められるがまま、お酒を飲んだ私も悪いけど、それでも全く気にせずモデルとラブショットしてワーワー騒いでるリョウのあの態度にもムカつく」
「だけど、そんな所も昔と変わらず、なんだろ?」
「なっ……そうだけど──。」
「つまり、今はすべてがムカつくんだな」
「そう!そういう事っ!」
さっきはリョウにテヒョンの愚痴を言って、そして今はテヒョンにリョウの愚痴を言っている。
何だか陳腐過ぎて自分に笑えてきた。