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シャネルを着た悪魔
第3章 ☆CHANEL NO3☆
「あのねえ、家でくらいゆっくりさせてよ。お洒落する必要もブランドのネグリジェ着る必要もないでしょ」

許可も取らずに、小皿にほんの少しだけラーメンを移して、テレビに目を向ける。

福岡県で起こった、無理心中事件がピックアップされていた。


「ちょ、箸置けよ」

「なんでよ。」


「──じゃねえと、これ以上するけど良いの?」

とつぶやいてから……急に後ろから捕まれる両胸。寝るときはブラジャーを付けないから──丁度、胸の突起が彼の人差し指と中指の間に収まっている。


「……な、なによ!」

お箸を置いて、振り向いた。


「そのまま寝転んで俺の膝の上に頭乗せて。」

少しだけ左に移動した彼は、私の返事も聞かずに強引に手を引っ張って私を膝枕した。

そして、バッグから何やらポーチを取り出すと目を瞑る様に一言言ってから、ごそごそと何かを取り出す。

ここで──バイブを想像した私はとんだ変態だ。


そんな変態の妄想は、儚く消えて行き──冷たい液体が顔に垂らされた。

「…ナニコレ」


『化粧水です』

彼の有る意味、男らしくない細くて長い指が口元から額にかけて化粧水を塗り込む様に力強く移動していく。

でも──その力強さは、決してイヤなものではなかった。むしろ、マッサージされてる様で凄く気持ちが良い。


「これは、なに?」

程なくしてから、また冷たいものが追加された。香りが違うから化粧水ではないと思う。


「精製水」

「ああ、コンタクトレンズとかに使うやつでしょ?」


「そう。これでもう一度水分与えるんだよ」

今度はマッサージじゃなくて、軽く叩く様な……そんな感じ。
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