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if…─もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
第1章 もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
綺麗な顔で不愛想…
見る人によっては迫力も満点にみえるだろう。実際にクラスでも彼を遠巻きにしている人も少なくはない。
"葉山雅"…
プリントの右上の枠のなかに、その風貌からしては意外にも均整のとれた綺麗な文字が並んでいる。それが彼の名前だ。
そしてそんな彼のひとつ前の席に座るのがアタシなわけで。
こうして授業中によく夢の世界に旅立つ彼の代わりにプリントを回収するという役目は、もはや自分にとって当たり前のことになりつつある。
…プリントを集め、黒板前の教卓に提出する。
その帰りにもう一度彼をひと目みるけれど、未だその様子に変化はまるでない。
一時間目の授業開始のチャイムから半分くらいの時間が経ってからようやく、相変わらずの無愛想さで挨拶もなく教室に入ってきた彼が、
『…はよ』
唯一目を合わせたアタシの横を通りすぎる間際、そう大きな手で髪をぐしゃぐしゃにしていったのはついさっきのことだというのに…。
今日も遅れて登校してきたと思えば、居眠り。
「…これで赤点がないとか信じらんない」
…っと、誰に言うわけでもなく心の声をついついひとり口に漏らしたところで、また前から新しいプリントが配られてきた。