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if…─もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
第1章 もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
だけどそう気がついたところで、なんの解決にもならなくて。
ただそんな自分が恥ずかしくて、ムッとした顔を赤くするのを彼には見られたくないと…
黙ってその場で背を向け、書架の影で顔を隠すように俯くアタシ。
挙げ句の果てにこんな可愛げのない態度しかとれない自分に嫌気がさす。
…すると、
「ッ…──!!?」
突然、ふわりと背中が暖かくなった。
「…ゴメン、怒った?」
そして、耳元からそんな声がして
自分はいま彼に、後ろからそっと抱きしめられているのだということを初めて認識する。
「ッ……」
…突然のことに驚きで身動きのできないアタシ。
「千隼センパイ…」
聖くんはそんなアタシの耳元に唇を近づけて、押し殺した声で名前を呼ぶ。
背中に感じる彼の温もり…
「ゴメン、怒らないで…」
包まれる彼の香りに、さっきの気持ちはどこへやら…
ドキドキと早鐘を打ち始める鼓動に、カラダを強張らせたまま頷くアタシ…
すると、カラダを硬くして俯くアタシの耳に、どこか安心するような溜め息とともに彼の柔らかな息が吹き込まれる。
「ッ…ん──」
アタシはその感覚に僅かにカラダを震わせ、
「…センパイ、顔見せて」
そんな囁きに喉を鳴らして息をのむと、後ろから抱かれたままの姿勢で恐る恐る聖くんを仰ぎ見た。