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第1章 もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…

『…は？屋上?』

『うん、ちょっと呼ばれてて…』

『なんで用もないのにお前が行かなきゃなんねぇんだよ』


アタシの思わぬ言葉にクラスメイトの彼の綺麗な眉間に思い切り皺が寄ったのは、帰りのホームルームが終わってすぐのこと。


『…そんなのほっとけよ。ほら、帰るぞ』

『でも…っ』

『なに』

『…無視したら悪いよ』

『…は。どうせそんなの……っ、お前なんかに大した用じゃねぇだろ』

『だけど…』

『オレが行くなっつってんだから、行くんじゃねぇよ!!』

『っ、なにその言い方っ…』


…そこで思わず言い返したら、ここからちょっとした小競り合いになった。

それからしばらくして、


『……ﾁｯ、なら勝手にしろよ。…ムカつく、先帰るわ』

『ちょっと…、雅くんっ!!』


…苛立ちを露わにしたまま自分を残して教室を出ていった彼の姿が脳裏に甦る。

ちゃんと話をしたかっただけなのに…

言い返したのが悪かった？

それにいま思えばあの物言いは、初めからこうなることをわかっててだったのだろうか。

確かに自分の彼女が他の男に告白される、とか彼氏からしてみれば面白い話なわけがない。

だからあれは、普段から言葉数少ない彼がアタシを想っての気持ちの裏返しだったのかもしれないけど。

…でもっ、雅くんはわかりやすいようで、わかりずらすぎるんだ!!

だから…

そんな彼に対して、少しだけやけになってて、ちょっと当て付けのような気持ちもあったアタシは、結局言うことを聞かずにここへきた。


「ごめんなさいっ…──」


だけど、なにがあっても結局…

この気持ちは変わらなくて。

だからなにがあっても…

他の誰かからの返事なら初めから決まってる…。