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if…─もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
第1章 もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
「あの、っ──」
「っ、友達からで構わないんだ!!」
あ……
しかし、意を決して伝えかけた自分の答えは悪戯に吹いた風に流され、そのざわめきにあっけなく掻き消されてしまう。
するとそこへ間髪入れずに迫る真剣な眼差し…
「オレ…結城のこと、ずっといいなって思ってて。クラス遠いし、なかなか話す機会なかったけど。気が付いたら目で追ってて…」
「………ッ」
"付き合ってるヒトがいる"
…本当はすぐにそう伝えるはずだった。
なのに、その余りにもの真っ直ぐさに、完全に断るタイミングを逃したアタシは声を出すはおろか、微動だにすらできなくなってしまう。
そして…
「…好きなんだ」
そんなアタシのところに、強い想いとともに引き寄せ、抱き締めようと彼の腕が伸びてきて…
…………!!
─そのときだった。
「…触んな」
突如現れた茜色に染まる大きな影がアタシを彼から引き離して…
「ヒトのもんに勝手に触ってんじゃねぇよ…」
思いもしない、これでもかという不機嫌な声がそこに割って入る。
「お前な…」
「へ…なん……」
それはさっき教室でケンカ別れしたばかりの彼で…
怒って先に帰ったはずのクラスメイトの雅くん。
「ちょっと来い」
「えっ…!?」
「…いいから来い」
「っ…!!」
雅くんはアタシを呼び出した彼に向かって、鋭い視線で"失せろ"とでも言うかのようにギロリと一瞥だけをくれると、あとのことはお構いなし。それ以上はなにも言うことなく、黙ってアタシの腕だけを強引に引く。