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if…─もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
第1章 もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
「おい…」
─ダンッ!!
「っ…!!」
それから間もなくして雅くんの低い声が屋上に響く。
校内への入り口の壁にアタシの背中は押し付けられていて、腰の脇のあたりには少々乱暴に壁に蹴りつけられた彼の長い脚。
「ちょっとやめろよ…っ、結城がっ…」
「…るせぇ」
そんな衝撃的な光景に、今度は逆にアタシを呼び出した方の彼がすかさず止めに入るけれど…
「お前には関係ない…」
雅くんの鋭い視線から繰り出されたそんなたったひとことと、最後一瞬だけ口許に微かに浮かべた意味深な笑みで瞬殺。
その殺傷能力の高さといえば、相手が反論することはおろか、ぐうの音も漏らすことも許されず、強制的に撤退を余儀なくせざるを得ないレベルで…。
西に傾いた夕日を映す赤い瞳で高い位置から真っ直ぐ見下ろされながら、騒ぐ自分の鼓動と扉の閉まる耳にする。
さすれば肌に感じるのは、自分たち以外は誰ももうここにはいないのだという気配と空気。
その刹那、
「お前…」
アタシの顔の脇の壁に片手をついた雅くんの顔がグッと迫った。
「…自分が誰のもんなのかちゃんと自覚あんのか」
「………!!」
突如縮まる距離に、心臓が止まりそうになって息が詰まる。