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if…─もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…
第1章 もしも、ちーちゃんが女子高校生だったら…





…そう、こんな風に…

いつもより低められた声は間違えなく機嫌が悪い証拠で。


「なぁ、自覚あんのかって聞いてんだよ…」


こんな風にも口調が荒いのは、もちろん怒っている証拠。

それは呼び出した彼でも他の誰に対してでもない、このアタシに対してだ。


「…あんなヤツにそんな顔見せやがって」


そう言葉を吐露する雅くんの首筋には微かな汗…

近くで見て初めて、彼が僅かに肩で息をしていることにも気付く。


「おい、千隼…」


するとその様子に目を取られていたアタシの手首を雅くんは掴むなり後ろの壁へ押し付けた。


「…お前さっきから聞いてんのかよ」


目の前に迫る燃えるような不機嫌な瞳…

更には、壁を蹴っていた彼の脚が限界まで追い込まれたアタシの脚の間に割って入ってきて、全身の距離を詰めては膝が壁をドンと叩く。


「生意気…」


トンっ…と伸ばされていた雅くんの肘が折れて壁をついて、ゼロに近づくふたりの距離。


そして…


「やっぱムカつく、お前…」


目の見開いて固まったままのアタシの肩口にうなだれるように頭をついた雅くんの声に…


─ビクッ…!!


「ッっ…!!」


完全に壁と彼に挟まれたアタシの躰が小さく跳ねた。


「雅くんンッ──!!」

「…るせぇよ、バカ女」

「ッぁ…」

「ちょっとでも自覚あんなら、少しはこっちの気にもなれ」


浅く噛みつかれた首筋に微かな痛みがはしって、離れた唇が今度はアタシの声に蓋をする。





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