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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第14章 面談
豊は先に教室に入っていたのか

「ゆう先生、また面談ですか?」

と、ニコニコしながら、ゆうを待っていた。

「お母さん、大丈夫?ちゃんと食べてる?」

いつものように面談を始める。

豊は

「ああ…元気ですよ。最近リハビリを始めました。僕も食べてますよ」

と、端正な顔で笑顔を崩さなく、どこから入り込もうかゆうは考える。

「階段での事故の事だけど…ホントにあなた何も知らない?」

そう聞くのは彼の母親もだんまりを決めてしまい、口を割らないため。

逆に追い返されることもあり、状況こそは耳に入っているが、当事者の話は全く聞いていない…それが現状だった。

「もーう、先生、何回言わせるんですか…僕は何も知りませんよ…」

豊は口を割らない。

(どうしたら…そうだ…彼が力を入れている事を聞いてみよう。)

そう思い、ゆうは

「今回のテスト、また順位に入ってたわね!」

そう言うと、ピシ…と豊の表情が固まった。

ゆうはその表情を見て

(確か…やばい。この子少し順位が落ちたんだ…)

失念していた事に後悔が押し寄せる。

「今回はまさか10位以内に入れなくて、びっくりですよ…」

そう言う豊に

「で、でも、学年で見れば成績はトップ争いしてるんだし、ね?」

と、ゆうは慌て答えるも

「僕は…上に行かなくちゃ生きてけないんです」

ぽそりと豊は話す。

言葉に怪訝に思いゆうは問う。

「なんで…そう思うの?」

その言葉には無言になる豊。

ゆうは彼の目を見て、

(やっぱり何かを背負ってる…)

確信する。

暗い闇に包まれた、死んだような目。

何かの欲求が満たされていない目。
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