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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第14章 面談
豊は口を開く。

「…そうでもしないと、誰も見てくれないからですよ…」

その顔は憂いも笑みでもない、感情を失ったかのような表情だった。

ゆうは

「何言ってるの?!私はちゃんと見てるわ?榎本くん元気ないなとか…そう思ってる!」

「でも!川仲誠に向けられるものと、全く違うでしょ?」

ゆうは図星を突かれ

「そ…そ…れは…」

と、俯くと、


ガタンッと乱暴に席を立ち、

「じゃあ!僕、部活は行きますんで!」

と、進路相談室をピシャンッと出て行った。

初めて、彼が感情を見せた…そんな瞬間だったかもしれない。

けど…

(教師失格ね……)

はぁ……とため息を吐く。

患者だった誠に確かに恋愛ではないけれど、それ以上の思いを持って接してしまってる。

萌との事だって…。

考えたらキリがないこと。

しかし、川仲誠と言う固有名詞が出て来た事から、誠に対して何らかの思いがあるようだ…ゆうには今はそれくらいしか分からない。

(萌ちゃんが好きで告白して、振られ…。順位にこだわりを持っている…)

誠を呼び付けようかどうか考えてあぐねるが、今そう言われても、誠自身アクションをどうかけたら良いか分からないだろう…。

そう思ったゆうは誠を呼び寄せるのをやめた。

しかしそれがのちのち大きな事件へと発展するとは、その時のゆうは思っていなかった。
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